資料シリーズNo.249
諸外国における外国人労働者受入制度に関する調査
―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、オーストラリア、韓国、EU―
概要
研究の目的
わが国で、入国管理法の見直しに関する議論が行なわれていることを踏まえ、諸外国における外国人労働者の受け入れ制度について、概要や動向、受け入れの現状、課題等をまとめた。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、オーストラリア、韓国の7カ国を対象に、以下について情報収集を行ったほか、EUについて関連の法制度をまとめた。
- 外国人労働者の受け入れに関する制度(受け入れ手法:受け入れ分野・人数の決定方法、受け入れ者の選定方法、基準)
- 外国人労働者への対応に関する各種施策
- 受け入れ状況等
研究の方法
文献サーベイ
主な事実発見
- 各国では、雇用先の確保を前提に、職務レベルや賃金水準を重視した基準が設けられている。受け入れ可能な職務に関する限定の手法は、職種の規定や、要件となる保有資格に相応の職種、など。賃金水準は概ね職種・経験・技能等を勘案した相場が参照される。また、国内労働市場に配慮した施策として、受け入れの数量制限、労働市場テスト(国内での一定期間の求人)、労働力不足職種リストなどが使用されている。
なお、外国人労働者に対する教育訓練や社会的扶助等の施策の適用は、限定的とみられる。
図表1 高度・中低度人材の主な受け入れルートにおける基準設定等の状況
*大卒者、認定職業訓練修了者には、求職を目的とする6カ月間の滞在許可が付与される(ドイツ語能力や自ら生計を維持できることなどの要件あり)。
**オランダについては高度人材、韓国は非熟練労働者向けの受け入れルートである点に留意のこと。
***なお、一部の職種については、博士号取得あるいは科学的研究修了後の求職であることを要する。
**** リストに掲載されていない職業でも、政府と雇用主が労働協定を締結している場合、協定の条件の下で特定の職業で働くことができる。
図表2 アメリカ:主な就労ビザの種類とその内容、申請手続
出所:連邦労働省、連邦市民権・移民局ウェブサイト等より作成
図表3 オーストラリアの外国人労働者受け入れ制度
注:専門技術者の業種・職種は、カテゴリー別のビザが付与された職業トップ20から抜粋。
Australian Government, Department of Home Affairs(2021). “Inquiry into Australia's skilled migration program”.
出所: Department of Home Affairs(http://immi.homeaffairs.gov.au/). ANZSCOSEARCH(http://www.anzscosearch.com/
)
政策への貢献
政策の検討に参考資料として活用されることを想定。
本文
研究の区分
情報収集
研究期間
令和3年度
執筆担当者
- 樋口 英夫
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐
- 石井 和広
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐
- 飯田 恵子
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員
- 北澤 謙
- 労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐
- 鈴川 可奈子
- 労働政策研究・研修機構 調査部 調査員
- 大島 秀之
- 労働政策研究・研修機構 調査部 次長
(所属・肩書は調査実施時点)
関連の研究成果
- 労働政策研究報告書No.59『欧州における外国人労働者受入れ制度と社会統合』(2006年)
- 資料シリーズNo.46『諸外国の外国人労働者受入れ制度と実態2008』(2008年)
- 資料シリーズNo.58『アメリカの外国人労働者受入れ制度と実態 ―諸外国の外国人労働者受入れ制度と実態 2009』(2009年)
- 資料シリーズNo.114『諸外国における高度人材を中心とした外国人労働者受入れ政策 ―デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、EU、アメリカ、韓国、シンガポール比較調査』(2013年)
- 資料シリーズNo.139『欧州諸国における介護分野に従事する外国人労働者 ―ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリス、フランス5カ国調査』(2014年)
- 資料シリーズNo.153『諸外国における外国人受け入れ制度の概要と影響をめぐる各種議論に関する調査』(2015年)
- 資料シリーズNo.207『諸外国における外国人材受入制度 ―非高度人材の位置づけ ―イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、韓国、台湾、シンガポール―』(2018年)