労働政策研究報告書No.106
働く場所と時間の多様性に関する調査研究

平成 21 年 4月 8日

概要

日本では1980年代にサテライトオフィスが一部の企業で試行され、1990年代後半になると、情報インフラやパソコンや携帯電話など端末機器が急速に普及し、それらの設備を活用し、一定の業務を請け負う個人業務請負や在宅ワークを行う新たな就業者が増加しました。

しかし、未だ多くの企業は在宅勤務等の新たな働き方を導入しておらず、雇用労働者の多くも多様な勤務場所で働くことによるメリットを享受しているとはいえません。他方では、「みなし労働時間」が適用される労働者層を中心に、働く時間の多様性も拡大してきており、勤務先のデスクでのみ作業をする人は相対的に減少していると思われます。

従来、このような働く場所と時間の「多様性」は、労働者の仕事と生活にメリットがあると言われてきましたが、必ずしも実態を正確に捉えた調査研究は多くありません。したがって現在の「多様性」が、メリットのみをもたらしていると断定するのは早計です。

そこで当機構では、平成19年度、20年度にかけて、働く場所と時間の多様性に関する調査研究を実施しました。19年度には主に働く場所の多様性に関する企業アンケート調査を実施し、20年度には在宅勤務等を導入している企業ヒアリング調査、及び働く場所と時間の多様性に関する労働者アンケート調査を実施しました。

調査研究の結果、現状では「自宅」で働いている人々の多くが、在宅勤務制度等に基づいて働くよりもいわゆる「持ち帰り残業」をしている可能性が高く、そのために長時間労働になっていること、また「自宅」を含む働く場所の多様性、及び労働時間の多様性が長時間労働につながっているという問題点が明らかになりました。しかしながら、週に1~2日程度の在宅勤務を、職場の実態に合わせて導入・運用することには一定のメリットがあることも示唆されました。

本文

研究期間

平成19年度~20年度

執筆担当者

小倉 一哉
労働政策研究・研修機構 主任研究員
池添 弘邦
労働政策研究・研修機構 副主任研究員
藤本 隆史
労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー

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